2023年6月5日月曜日

バット・ビューティフル

2011/9/30 ジェフ ダイヤー (著), Geoff Dyer (原名), 村上 春樹 (翻訳)

3 件のコメント:

fkdrums さんのコメント...

新潮社 (2011/9/30)
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本 ‏ : ‎ 281ページ

内容(「BOOK」データベースより)
レスターは上官の罵声を浴び、モンクは警棒を振り下ろされ、ミンガスは破壊することをやめない。酒、ドラッグ、哀しみの歴史に傷つき、自ら迷路をさまようミュージシャンたち。しかし彼らの人生には、それでも美しいジャズの響きがあった―伝説的プレイヤーの姿を、想像力と自由な文体で即興変奏する、ジャズを描いた8つの物語。サマセット・モーム賞受賞作。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ダイヤー,ジェフ
1958年、英国南西部のチェルトナム生まれ。オックスフォード大学で英文学を学び、80年代前半からジャーナリストとして活動を始める。1987年、ブッカー賞作家ジョン・バージャーを考察した『Ways of Telling:Work of John Berger』を刊行、以後作家・批評家として先鋭的な小説やノンフィクションを数多く発表する。1997年、D・H・ローレンスを描いた『Out of Sheer Rage:In the Shadow of D.H.Lawrence』が全米批評家協会賞小説部門の最終候補作に、また2006年にはE・M・フォースター賞を受賞。『バット・ビューティフル』(1991)は1992年度のサマセット・モーム賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

fkdrums さんのコメント...

村上 春樹 (翻訳) さんもT.Monkファンで、T.Monkの項目を最初に読んだとか。

58ページ下段
もしモンクが橋を造っていたら、彼は構造上不可欠と考えられている部品をそこからどんどん取り去っていっただろう。そしてあとに残っているのは、装飾的な部分ばかりということにんなっただろう、・・・・

と述べられているが、私はその逆ではないかと思う。
装飾を取り除いて、構造の美しさを表現していたのではないか。構造の形式は様々で、各地に美しい構造形式をもった橋が建造されていることからも明らか。
石造や煉瓦造のアーチ、様々なトラス組、そして現代では吊り橋がメインになっているようです。初めて建築構造を勉強する場合に、屋根を支える構造である和小屋と洋小屋の違いを学ぶことがあります。和小屋では屋根の荷重を束が梁に対して垂直な圧縮力を伝えます。それに対して洋小屋では三角形のトラスを組んで引っ張り力を利用します。送電線の鉄塔の構造もこれです。
現代の構造の殆どは吊り構造による引っ張り力によるものですが、様々に美しいものがあります。欧米では構造物を裸で見せるという考えは無かったので、装飾的に覆い隠すことが一般的でした。
新しいジャズが創り出されたのは、第二次大戦終了前後でバウハウスやオランダ、オーストリアなどヨーロッパ各地で起こった新しいデザイン運動より少し遅れていたと思われます。が、装飾を廃して新しい美しさを追求したと思います。音楽の構造と装飾の関係を私が説明することは難しいのですが、装飾を廃して構造的な美しさを表現しようとしたのは共通した文化の流れと思います。
以前たまたま旅行先で知り合った若者が、ベートーベンやチャイコフスキーの賑やかで大層なエンディングは嫌いだと言ったのを覚えていますが、モンクの終わりはなんの飾りもなく’はい終わり’といった感じです。
空間や時間を隙間無く装飾的に埋めていくのではなくて、純粋な美しさがモンクジャズの特色と感じています。

fkdrums さんのコメント...

なお、バット・ビューティフルというタイトルは、アート・ペッパーが出所後に出会った夫人の言葉で、彼の人格はさておき音楽は美しいと言った言葉らしいです。
人格と作品は別物です。

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