2022年2月11日金曜日

真空管ラジオからオーディオ

 中学校に入学して早速無線部に入部。理科室で電気マニアの教頭服部先生と理科担当の横井先生の指導を受けて真空管ラジオをつくったが、配線の美しさにも気付いた。まだアンプのことも知らなかったのでこのラジオにレコードプレィヤーを接続、音楽を聴きだしたがまだジャズを知らなかった。このラジオで夜中になると外国の放送が聴けたので、モスクワ放送、平壌放送(日本語)やわけの分からない外国語(朝鮮語、中国語)を聴いたり、東京ニッポン放送、米軍FENを楽しんだ。FENは夜中の24時を過ぎたとたんグッド・モーニングとコールするのが驚きだった。その前に帆足まり子さんのS盤アワーを聴いていたので、音楽に親しむようになってきた。元々アマチュア無線で外国人と交信している人がやっていたのであるが、受信レポートを送るとベリーカードと言われていた記念のカードが送られてきた。モスクワ放送は、一度送るとそおの年のクリスマスカードが送られてきた。北京放送や平壌放送を聴いているのがばれたら就職がないかも、ベリーカードも隠した方が良い、と大学生だった西野さんが言ってた。その頃共産党員には就職がなかったらしい。

真空管ラジオを何台つくったのか覚えていないが、卒業前の春休みにオーディオ用のアンプを組み立てた。勿論ジャズを聴くためにではあるが、まだモダン・ジャズを知らなかった。スピーカーは「音響」製の何を買ったのか忘れたが30cmは買えなかった、レコードプレィヤーは市販のビクター製モノラル。スピーカーボックスは本棚を利用、丸い穴をあけるのに一苦労したが、次からは木工所の電動糸鋸であけてもらった。トランス類は「サンスイ」、真空管はミニチュア菅で「東芝マツダ」。ボリユームにも専門メィカーがあった、「コスモス」。電解コンデンサーは「日本ケミカルコンデンサー」。ラジオには「アルプス」のバリコン、コイルは「トリオ」。トリオはケンウッドを経て消滅?アキュフェーズがトリオの創業者による高級オーディオ器機のメイカーである。クラシック系のスピーカーはパイオニアで、私は音響。

ラジオやアンプを組み立てるための部品は京都河原町三条朝日会館の裏にあったアサヒ無線(後にダウンビートができた近所)か四条寺町通りを南に入った電気屋街で買った。このアンプは一回り小さいながら、大型のアンプと同じ形の電源・出力トランス、筒状のコンデンサー、そして4,5本のミニチュア管が四角いシャーシーの上に並んで、夜になると真空管の光がきれいだった。シャーシーも市販のあらかじめ真空管ソケットなどの穴が開けられたものではなく、全て自分で寸法取りをして穴をあけた。アンプの部品の形状は丸いものが多かった、トランスのように四角いものでもボルトやビスで固定するので基本は全て丸である。したがって、シャシーにはそれらの中心点をマークしてドリルやパンチで穴を開けるのである。中学校の家庭科で3面図を習ったことがあるが、外形を基本に寸法取りをするするものとは違うのである。このようなことは学校では教えられなかった。

余談。今から思うと裕福な家庭でもないのにこの資金をよくも集めたものだが、この作業を通じて変なことが起こるようになった。ある日のことアンプの部品を調達しにアサヒ無線で買い物をしたのだが、手元に1,000円札を用意していたのであるが500円以下であったので払うときに500円札に替えた。レジの係が500円札を確認しないままでおつりをくれたので家に帰ってから財布の中身を確かめたら多い。当時は全て札だったのであまり確かめないと、このようなことになったのである。ちなみに高校を卒業した頃アサヒ無線にいったらつぶれていた(もう時効なので私のせいではありません)。それからちょくちょくお釣りを得することが起こった、券売機でもお釣りが余計に出てきたりしたのであるが、結婚してからこんなことが時々あると家内に話していたら、はじめて一緒に外国へ出かけてTCで精算したときのこと、やはり思ったより安価であったため前に出していたTCより額面の低いもので精算したら、お釣りが余計にきた。ほらね、こんなことあるのよと二人で大笑い。現在ではお釣りを出す前にレジにお金を磁石ではり付けるなどして間違いが起こらない。が、私が住んでいる地域では交通費の援助があって交換券で希望の鉄道会社のプリペイドカードに交換してくれたのだが、それがかなり薄いプラで何度も枚数を数えていたのであるが、ある年のこと一枚多くくれた。私のせいではないと思うが、最近はこの制度が無くなった。

当時の私の知識と資金をつぎ込んだこのアンプを大学を卒業して移転するまで10年ほど使用、モノラルだったので廃棄した。後で思ったのだが同じアンプをもう一台造ればステレオになったのに。大学を卒業してしばらくして、ゼミ友の牧さんがトリオのトランジスター・アンプを購入した。私も真似をして同じアンプとあこがれだった音響の30cmスピーカー、そしてsuzukiのレコード・プレィヤーを大阪の電気屋街日本橋で購入、しばらくして牧さんがアカイのオープンリール・テープデッキを購入。私はTEACのテープデッキを購入。

トリオのアンプの後は、埼玉県で造っている小さな真空管アンプ(トライオード)を購入したが、現在の住居に移転してから退職金をつぎ込んであこがれの機材を手に入れた。Luxman の真空管アンプ。JBLのスピーカー、ドイツ製のレコードプレイヤー、そしてTEACとLuxmanのコンバーターでPCに接続、ハイレゾで楽しんでいる。裕福なオーディオマニアは一機材あたり¥1,000,000もするようなセットではあるが、それに比べれば中の下くらいか。初めて真空管ラジオを組み立ててから50年あまり、それでも満足している。

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